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EPEL と Remi の違い
[初回公開] 2025年05月18日
RedHat や CentOS など Linux 系のサーバにインストールしたパッケージを一覧で確認するために、インストールやアップデートで利用する yum コマンドを活用する方法を紹介する。

1. EPEL (Extra Packages for Enterprise Linux)とは
EPEL(Extra Packages for Enterprise Linux)は、Fedoraプロジェクトによって提供される追加ソフトウェアリポジトリである。
RHELやCentOS、Rocky Linuxなどのエンタープライズ系ディストリビューションに対し、標準リポジトリでは提供されない高品質なオープンソースパッケージを安全かつ安定的に供給することを目的としている。
EPELのパッケージはFedoraの厳格な品質基準に基づいてビルドされており、システムの安定性を損なうことなく機能を拡張できる点が特徴である。
- 概要: Fedora プロジェクトによって提供されるリポジトリ。RHEL 系にない追加パッケージ(Fedora 由来)を提供。
- 特徴: RHEL にないツールやライブラリを補完。セキュリティポリシーが厳しく、信頼性が高い。
- 代表的なパッケージ: htop, ncdu, fail2ban, mosh, nginx, ansible など
2. Remi Repositoryとは
Remi Repositoryは、主にPHP関連の最新パッケージを提供する個人管理のリポジトリである。
公式リポジトリやEPELでは提供が遅れることの多い新しいPHPバージョンや拡張モジュールを、迅速に利用できることが大きな利点である。
Red Hat系ディストリビューションで最新のWebアプリケーション環境を構築したい場合に特に有効であり、開発環境やテスト環境で重宝されている。
ただし、更新頻度が高いため、運用環境では慎重な検証が求められるリポジトリである。
- 概要: Red Hat の開発者 Remi Collet 氏による個人提供リポジトリ。主に PHP や Web 関連ソフトに特化。
- 特徴: 最新の PHP バージョンや Redis などが豊富。EPEL に依存するパッケージも多い。
- 代表的なパッケージ: php, php-fpm, php-mysqlnd, php-opcache, php-redis, redis, memcached など
3. EPEL と Remi の比較表
本章では、EPELとRemi Repositoryの特徴を項目ごとに比較し、その違いを明確に示すものである。
提供者、対象パッケージ、更新頻度、安定性、利用目的などを一覧化することで、利用者が自分のシステム環境に最適なリポジトリを選択できるようにする。
EPELは安定性を重視した保守的な構成であるのに対し、Remiは最新技術を取り入れた前衛的なリポジトリであり、両者の使い分けを理解することがシステム運用の鍵となる。
| 項目 | EPEL | Remi |
|---|---|---|
| 提供元 | Fedora Project | Remi Collet(Red Hat 開発者) |
| 安定性 | 高い(保守重視) | やや低いが新しい機能に対応 |
| パッケージ数 | 数千以上 | PHP/Web 系を中心に数百 |
| PHP バージョン | 限定的 または 提供なし | 最新の複数バージョンあり |
| 必要性 | 基本的なツールの補完用 | PHP や Web 開発用途で重要 |
4. 使い分けの例
例えば、安定稼働を重視するサーバーではEPELのみを利用し、開発や検証環境ではRemiを併用して最新のPHPや関連モジュールを試すといった運用が考えられる。
また、依存関係の競合を避けるための設定方法や、yum/dnfでの優先度制御の実践例にも触れる。これにより、安全かつ柔軟なリポジトリ管理が可能となる。
- EPEL のみで十分: 基本的なサーバーツールや補完パッケージが欲しい場合
- Remi が必要: PHP 7.x~8.x の最新機能を使いたい / Web アプリケーションを運用したい場合
5. まとめ
本記事では、EPELとRemi Repositoryの概要、特徴、そして使い分け方について解説した。
EPELは安定性を重視する運用環境に、Remiは最新機能を求める開発環境に適していることが分かった。
両者の性質を正しく理解し、目的に応じて選択・併用することで、Enterprise Linux環境をより効率的かつ安全に運用できる。
リポジトリ管理はシステムの品質と保守性を左右する重要な要素である。
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